JOURNY | ZURICH 4
Museum für Gestaltung Zürich
チューリッヒデザインミュージアムの歴史は、1875年、美術工芸学校の教育コレクションとして始まりました。
産業と芸術の境界を越え、職人たちの手から生まれるものに価値を見出し、未来のために記録し、伝えるための場所。
1933年に現代建築の粋を集めたモダニズムの建物が完成し、合理的で、透明なその建物は、それ自体がスイスデザインの精神の一つの象徴であり、スイスのデザイン史を軸にしつつ、バウハウス、アメリカンモダン、北欧、そしてそして現代の多様なデザインに至るまでを収集・展示しています。
Zurichの湖畔公園にあるPavillon Le Corbusierもこのミュージアムが運営し近代建築とデザインの価値を広く伝えています。
ウィリー・グールによるエタニット製(スイスの繊維強化セメント)のビーチチェアの当時の広告。1954年
そもそもの母体が教育機関であったため、このミュージアムでは非常に精緻で厳密なコレクションと展示が行われています。
写真からプロダクトデザインに至るまで、多岐にわたる分野の作品が、体系的に収集・記録され、展示されています。
製糖工場で砂糖を袋詰めする女性たち、果実を運ぶ労働者。
靴工場での大量生産の様子、伝統的な手仕事に従事する職人たち。
いずれも、産業化の進展と同時に守られてきた手仕事の文化、社会の構造、労働の尊厳が強く感じられる瞬間が切り取られています。
スイスの文化は、質実剛健さ、精密さ、共同体意識、そして自然との調和によって特徴づけられます。この文化的土壌は、20世紀のスイスデザインにも色濃く反映され、国際的な評価を受ける礎となりました。
写真に見られるような製造現場や職人の姿は、スイスにおける「手仕事」と「工業化」の共存であり、農業や伝統的な手工業が長らく人々の暮らしを支え、その中で培われた緻密な技術力と忍耐強さが、時計産業や精密機器、グラフィックデザイン、家具デザイン、建築の分野に昇華していきました。
スイスデザインの核にあるのは、無駄を排し、機能を重んじるモダニズムの思想です。これは単なるスタイルではなく、スイス社会の倫理観──透明性、秩序、効率性、そして公平性──と深く結びついています。
ファサードや幾何学的な階段。これらは単なるスタイルではなく、秩序、明快さ、機能美を体現する試みです。
夜の映画館のネオン、デパート「Jelmoli」のモダンな外観、広々とした室内プール、都市の高架道路。こうした都市風景には、急速に近代化する中でも、秩序だった美しさを保つスイス独特の都市文化が表れています。 人々の営みと都市の構造が調和した空間がつくり出されています。
地下のアーカイヴルームではモダンデザインのコレクションが展示されています。
このミュージアムには私たちの作品が収蔵・展示されています。
PJ-SI-59-A Pierre Jeanneret ca. 1955 Kangaroo chair
PJ-SI-68-A ca. 1955-1956 Sawer stool / PJ-SI-28-A ca.1955-1956 Arm chair with floating back seat / PJ-SI-34-A Pierre Jeanneret ca. 1955-1956 Cane stool with compass-legs
LC-14 ca. 1959 Box stools / LC-III ca. 1960 Reflector
本日の訪問は終了です。